しつけと虐待の違いとは
家庭内で行う保護者と子供の関わりは、外部の人からはなかなか見えにくいものです。
「よそはよそ、うちはうち」とは言うものの、だからといって家庭内でどんな接し方をしてもよいということにはなりません。
厚生労働省の調査によると、平成27年度に児童相談所に寄せられた児童虐待相談対応件数は103,260件となっており過去最高となりました。
特にここ近年では心理的虐待が急増する傾向にあり、それまでは家庭内での「しつけ」とされてきたことも客観的には虐待であったということが表に出てきました。
参考>>http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000132381.html
ただしこの「しつけ」と「虐待」の違いというのは非常に曖昧で、時代や地域性、その家庭内の様子により微妙にちがってきています。
最近では新しく「優しい虐待」と言われる、子供を全く叱らずに甘やかして育てるという方法も問題になってきました。
ただ明確に異なる1点として「親が自分のための感情で行っている」ということが挙げられます。
例えば自分がイライラしたので子供に当たったり、しなくてもよい苦労を子供に無理にさせるというようなことは、仮にどんな理屈をつけていたとしてもそれは虐待です。
実際に虐待として通報されたり大きな事故を起こして通報された親のほとんどが「しつけのつもりだった」と言っています。
「しつけ」と称すれば子供をいじめてもよいという考えになっていないかどうか、今一度自省をして行動をとってもらいたいところです。
幼児のしつけ方
虐待にならないようにしつけるためには、まず目的をしっかりさせるということが大切になります。
子供に限ったことではありませんが、自分自身が「なぜ怒られているのか」が分からない状況というのは大変にストレスがたまります。
特に子供は短期的な記憶しか維持ができませんので、もし悪いことをしたらすぐその場で叱るようにして、自分の何が悪かったのかということを明確に親が示しましょう。
最も良くないのが「どうして私が怒っているのかお前が考えなさい」と丸投げをしたり、悪いことをした時には放置をしていたのに、あとからイライラしたことがあった時に過去のことを掘り返して急に怒り出すといったような方法です。
もっとも子供に虐待をする人というのは、過去に自分が同じようなことを周囲にされた記憶があったり、現在周辺から孤立して相談をする相手がいないということがよくあります。
子供に優しくしたいのにできないという悩みがある人は、一度自分自身のためにカウンセリングなどを行い、何が自分の子育てを良くないものにしているかを冷静に考え直してみるのがよいでしょう。