爪を噛む
大人の目からは子供は単純な生き物のように思えますが、実際には同じく複雑な心を持ち、自分だけの世界があります。
幼児期の生育環境がその後の人格形成に重大な役割を持つということは有名な話ですが、案外自分たちの与えている環境が子供にとってよいものであるかどうかは身近な保護者でも分かりにくいものです。
子供の心理にとても大きな影響があるのが「愛情不足」です。
自分の力だけでは生きていくことができない子供にとっては、親からきちんと保護されているという実感がないことは大変な不安となります。
自分の存在を無視されている、大切にされていないと感じるといった時にはそれが子供の態度になって表れるはずです。
代表的なのが「爪を噛む」や「指をしゃぶる」といった行動で、強い不安やストレスを感じている子供がよくクセにしています。
これは生後0~1.5歳くらいの時期に訪れる口唇期という生育過程が関係しており、母乳を飲むために唇に刺激を与えることで安心感を得るという心理によります。
ですので自分の口に刺激を与えることで擬似的な安心感を得ようとすることが、爪を噛んだり指をしゃぶったりする行動になって出てくるのです。
無表情になる
過去には問題にされてこなかったことも、現在においては「虐待」として扱われています。
その代表的なものがいわゆる心理的虐待です。
心理的虐待とは、弱い立場である子供に対して周囲の大人が大声を出したり、恐怖を与えるような言動をとったりすることです。
また逆に無視を続けたり、拒絶的な態度をとったりすることも、暴力的な行為同様に非常に子供に悪い影響を与えます。
そうした心理的虐待があった時によくあるのが子供の無表情です。
本来子供は感情の起伏が大きく、自分の気持ちがすぐ顔や態度に出るものなのですが、家庭内で存在を無視されたりいらないものとして扱われ続けていると、自然に表情がなくなっていってしまいます。
子供自身に向けられる態度だけでなく、例えば家庭内でDVがあることを日常的に子供が目撃をした時なども同じように表情が消えるといったことが起こるでしょう。
嘘をつく
どんな子供でも一度は問題行動をとるものですが、中には繰り返し周囲に迷惑となるようなことを行う場合があります。
子供の行う問題行動の一つとして代表的なのが「嘘をつく」ということです。
子供の嘘は些細なものかもしれませんが、その背景には周囲からの無関心があります。
周りの大人の気を引いたり、自分に注意を向けようとすることが嘘をつく動機になっているのです。
この嘘をつくことに慣れてくると、子供の中で自分が嘘を言っているのかそうではないのかの境界が曖昧になっていってしまい、将来の人格形成にも影響してきます。